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大腸・肛門外科

対象疾患について

慢性便秘

女性は一概に男性よりも大腸が長く、黄体ホルモンの働きや慢性的な水分摂取の不足、運動不足や夜勤など不規則な生活による腸管の蠕動運動が低下などのため便秘に陥りやすくなります。一方、高齢の方、特に高齢女性では「胃下垂」と同じように大腸も緩んでだらんとしてしまいますので便秘になりますし(弛緩性便秘)、腹筋や大腸の壁や骨盤の底の筋肉も薄くなってしまうため便を押し出す力が弱まっていまい、便が上手くすっきりと出ない(出口症候群)のような病態もあります。

過敏性腸症候群と慢性炎症性腸疾患

過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome:IBS)という、心身のストレスから消化管運動に変調を来たし、便通障害を起こす疾病が昨今非常に多いです。一概に男性では下痢傾向、女性では便秘傾向になりがちですが、下痢と便秘を繰り返す場合もあります。

特に慢性下痢が続き、出血や体重減少を伴ってきた場合は慢性炎症性腸疾患(Inflammatory bowel diseases:IBD)の可能性もあるので、注意が必要です。

治療を取り巻く最近の状況について

肛門疾患は注射による硬化療法をはじめ日帰りで処置可能な例も多くなり、手術も痛みが少なく入院日数も格段に短くなりました。慢性便秘に対しては、残便感を伴わない完全排便を目指せる安全な薬剤がここ数年間でいくつも上梓されました。また過敏性腸症候群(IBS)と慢性炎症性腸疾患(IBD)の鑑別や慢性炎症性腸疾患(IBD)の経過も便を使って調べる方法あるいはカプセル内視鏡が開発され、治療薬も飛躍的な進歩を遂げており、外来で管理できるケースが非常に増えてきています。一人でも多くの方にこの恩恵を被っていただけるよう、微力を尽くしたいと思います。

腎不全の患者さんは尿毒症性物質がクリアできないため、大腸内の悪玉菌が増えたり細動脈が傷害されたりして、一般的に大腸の機能も低下します。すなわち症状的には便秘をはじめ排便障害が起きやすくなります。このような慢性便秘に対しセンナやダイオウ、アロエなどの生薬系下剤は刺激と習慣性が非常に強く、決して常用するべきではありません。最近は習慣性に乏しく安全で生理的排便をもたらし得る下剤がいくつも上梓されておりますので、ご相談いただければと存じます。

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の蔓延は、消化器科診療にも大きな影響を与えています。今回のコロナ禍のために本来必要であった検査まで行われなかった結果、重大な疾患の発見、診断や治療が遅れる方がこれから先に続出しないかを非常に危惧しています。
例えば最近米国で発表された大規模な論文で、検診で便潜血反応が陽性となった場合、結果判明から10か月以上経ってから大腸検査を行うと、すぐに行った場合に比べて有意に大腸がんのstageが上がっている、という報告があります。現在自覚症状がないから、痛くないから、困っていないから、だから急ぎの検査は不要であるというふうに「不要不急」を理解されてしまうと、早いステージで発見され治せるものも治せなくなってしまう例も出てくるのではないか,と懸念しています。
また、慢性炎症性腸疾患(IBD)など免疫が関与する疾患では免疫に抑制的に働く薬剤もよく使用します。このため、IBD診療においても世界のCOVID-19の動向をよく把握して、日々更新されるデータや欧米ならびに本邦の学会などから発信される最新のstatementから、患者さんにいたずらな誤解や不安を与えたりしないよう個々の患者さんの病状や背景因子を考慮しながら十分な論拠を持って丁寧に説明しています。慢性炎症性腸疾患(IBD)の寛解導入・寛解維持には一定の免疫抑制が必要なことがあり,コロナ感染・重症化リスクの回避と二律背反的な部分が少なくないため,これを高いレベルで両立してゆくことは非常に難しいことですが、我々IBD診療医にとって今はそれが最も重要な責務となっていると痛切に感じています。

スタッフの紹介

三枝 直人(さいぐさ なおと)  IBDセンター長

資格等
日本外科学会 専門医
日本消化器外科学会 専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会 専門医
日本大腸肛門病学会 専門医・指導医・評議員
日本消化管学会 専門医
American Society of Colon and Rectal Surgeons(米国結腸直腸外科学会)会員

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