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Bスポット療法・EAT(Epipharyngeal Abrasive Therapy:イート)

Bスポット療法・EATについて

EATは50年の歴史があり全国で200以上の施設が行っていますが、塩化亜鉛は医薬品として未承認です。このため当院では厚労省の定めた「高難度新規医療技術及び未承認新規医薬品等を用いた医療の提供」として増子記念病院倫理委員会の審議・承認を得てEAT を始めました (承認番号MR1-26)。塩化亜鉛を上咽頭に口及び鼻から塗り、自宅で点鼻します。0.5%~1.0%の塩化亜鉛を疾患活動度や塗布時の痛みで使い分けます。上咽頭は鼻咽腔 [びいんくう]とも呼ぶため発案者・東京医科歯科大堀口申作先生はB スポット療法と命名しました。日本病巣研究会は上咽頭粘膜を強く擦って悪い粘膜をこそげ落とすことが重要としEAT (Epipharyngeal =上咽頭 Abrasive=摩耗する=こすり落とす Therapy=治療, イート) の呼称を提唱しています。

上咽頭について

カゼでは左図①の部位に炎症が起こります。ココが上咽頭腔です。インフルエンザやコロナの検査でノドが痛いのに口ではなく鼻から棒を挿入する(②→①)のはココを検査するためです。
Bスポット療法・EAT (イート)では、上咽頭炎の治療として塩化亜鉛を①に塗布します。

「カゼや上気道炎をきっかけに血尿が出たりネフローゼが再発する」ように上咽頭炎は腎臓病に関連します。他に上咽頭炎が関連するのは:皮膚科 (掌蹠膿疱症・尋常性乾癬・アトピー性皮膚炎・慢性蕁麻疹・多形滲出性紅斑・結節性紅斑)、耳鼻咽喉科 (扁桃炎・副鼻腔炎・上咽頭炎)、心療内科 (慢性疲労症候群・線維筋痛症・うつ病・自律神経失調)、内科 (喘息・めまい・IgA腎症・ネフローゼ症候群・機能性ディスペプシア・過敏性腸症候群・アレルギー性紫斑病 (IgA血管炎)・ベーチェット病・関節リウマチ)、整形外科 (胸肋鎖骨過形成症・反応性関節炎・仙腸関節障害・アキレス腱炎)等です。当院ではIgA腎症とIgA血管炎に対して EAT を行います。

EATの実際

堀田修クリニック院長の堀田修先生は口蓋扁桃摘出+ステロイドパルス療法(扁摘+パルス)を行うと、IgA腎症等の腎臓病の改善に可能性があるものと提唱しています。日本腎臓学会のガイドラインでも扁摘+パルスはIgA腎症の治療法として認められています。堀田先生が扁摘+パルスにEATを併用するため、希望する方が増え、取り入れる施設は増加しました。当院の福田医師も名古屋市立大学病院在職中の2012年から扁摘+パルス+EAT療法を行っており、重大な副作用は認められませんでした。

治療目標について

血尿の程度は『1未満、1~4、5~9、10~19、20~29、30~49、50~99、100以上/HPF』に分けられ(下図)、1未満、1~4/HPFが正常です。ただし血尿の原因が腎炎なのか否か(泌尿器科疾患)、変形赤血球や赤血球円柱の有無で確認する必要があります。当院ではこの区別も可能です(下図)。

タンパク尿は「g/gCre」という単位(1gのクレアチニンを含む尿に何gのタンパクが出るか)で評価します。1日に尿に出るクレアチニン量は患者さんごとに一定です。筋肉の少ない方(女性やヤセた方)で0.5~0.7g、筋肉の多い方(男性や筋骨隆々の方)で1.5g程であるため「g/gCre」により1日尿タンパク量を推定できます(※)。

タンパク尿ゼロは <0.03、微量タンパク尿は0.03~0.3、顕性タンパク尿は0.3~0.5以上 g/gCreです。

※1日に0.5gのタンパク尿が出ているとして、1)1日の尿量が2000 ccであればタンパク尿は±(プラスマイナス)、2)1日の尿量が500 ccであればタンパク尿は 2+(2プラス)です。出ているタンパク尿が同じでも、尿の濃さが違うとテープの結果が違うので検尿テープではタンパク尿の重症度を確定できません。

受付・費用等について

  • 説明・同意文書を用いて説明します。十分に理解し希望された方がEATを受けて頂けます。
  • 自費診療:同日にEAT以外の診療を受けると腎臓内科であっても他の科であっても自費診療となります。
  • 診察代、塗布する塩化亜鉛、お渡しする塩化亜鉛(点鼻)の費用で概ね700~1,000円程度です。

診療日:火曜日、水曜日 / 担当医師:福田